スマートフォンの普及により、縦型動画広告が今注目を集めています。画面をフル活用できる縦型動画は、ユーザーに没入感を与えやすく、短時間で効果的にメッセージを伝えられる広告形式です。本記事では、縦型動画広告の特徴や各媒体での配信方法、成功させるためのコツを徹底解説します。これから縦型動画広告を取り入れたい方は、ぜひ参考にして、効果的な広告運用に挑戦してください!
縦型動画広告とは
縦型動画広告は、スマートフォンをそのままの向きで再生できる動画広告形式です。従来の横型広告とは異なり、縦型であるため、画面の回転が不要です。比率は横型が16:9で、縦型が9:16となっています。
なぜ今、縦型動画広告なのか?
これまで主流だった横型動画広告は、PC向けに作られており、撮影も横向きを基本として行われていました。しかし、スマートフォンの普及が進むにつれ、縦型動画広告が注目を集めています。
スマートフォン利用者の増加が背景にあります。2018年のGoogleの調査によれば、YouTubeの総再生時間のうち70%以上がモバイル端末によるものと報告されています。スマートフォンは縦向きで使用されることが多いため、操作性を重視するなら縦型動画広告は有効です。特にアプリや動画キャンペーンでは、縦型やスクエア動画が推奨されています。
縦型動画広告の大きなメリットは、スマートフォンの向きを変える必要がない点です。横型広告を縦向きのまま再生することも可能ですが、画面が小さくなり、視認性やメッセージの伝達力が低下することがあります。そのため、フォントサイズを大きくするなどの工夫が求められる場合があります。
さらに重要なのは、動画の再生時間との関連です。モバーシャル株式会社の調査(2018年)によると、1分以内の動画は約60%の人がスマートフォンを縦向きのまま視聴すると回答しています。一方、3分以上の動画になると約55%が横向きで視聴するとのことです。多くの動画広告が1分以内であることを考えると、縦型動画広告は有力な選択肢といえます。
また、Instagramストーリーズ広告の再生時間は最大15秒、Snapchat広告は10秒と、いずれも縦型広告に適したプラットフォームです。これらのサービスで他の形式の広告動画をそのまま流すより、縦型専用に作り直すほうが効果を高めることが可能です。
縦型動画広告の5つのメリット
縦型動画広告には、横型動画や静止画像を使った広告では得られない5つの独自の利点があります。広告制作や配信時には、これらのメリットを活かしてクリエイティブや訴求内容を工夫することが重要です。
- 縦向きのまま快適に閲覧でき、操作性も向上
- スマホの画面全体を活用して没入感を提供
- 縦型動画に適したプラットフォームで成果を出しやすい
- UGC風に仕上げることで視聴者に親しみを持たれやすい
- 人物の魅力を大きく引き出す表現が可能
スマホを縦向きのまま視聴可能で、操作性が向上
縦型動画広告は、スマホを縦向きのまま視聴できるため、その後のサイト操作もスムーズに行える点が大きな特徴です。広告からリンク先のサイトに遷移しても、一貫して縦向きで操作できるため、ユーザーが片手だけで手軽に商品を選んだり購入したりすることが可能です。これにより、視聴から購入までの一連の流れがストレスなく進行します。
スマホの画面全体を活用して没入感を提供
縦型動画広告はスマホ画面を完全に占有するため、視聴者の注意を一身に集めることができます。横型動画や静止画像では画面の占有率が低くなるため、縦型広告ほどの没入感は得られません。縦型広告なら、視聴中に他のコンテンツが視界に入るのを防ぎ、広告の効果を最大化できます。
特に注目された事例として、株式会社 AOI Pro. が2016年に制作したミュージックビデオがあります。この縦型動画は「スマホがジャックされた」と話題を呼び、フランスのカンヌライオンズ広告祭でサイバー部門の銅賞(Bronze Lion)を受賞しました。また、同様に2016年には縦型で制作された映画予告編も登場し、現在でも斬新な手法として評価されています。
このように、縦型動画はスマホ画面全体を活かして視聴者を引き込む広告効果を発揮します。
縦型動画に特化した配信プラットフォームで高い効果を実現
縦型動画広告は、TikTokやInstagramストーリーズ、YouTubeショートなど縦型に特化したプラットフォームで非常に効果的です。これらの媒体では横型広告も配信可能ですが、視認性やエンゲージメントの面で劣る場合があります。
TikTokの調査によると、縦型動画は横型動画と比較して、6秒視聴率が391%、エンゲージメント率が923%向上したという結果が出ています。横型動画をそのまま使用すると、動画が中央に小さく表示されるだけで見づらく、クリック率や他の指標が低下するリスクがあります。
縦型動画広告を採用することで、配信プラットフォームに最適化された広告体験を提供でき、より良い成果を期待できます。
UGC風の演出でユーザーに親しみやすい印象を与える
UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)とは、レビューやSNSの投稿など、一般ユーザーが制作したコンテンツを指します。縦型動画広告では、このUGCを模したクリエイティブがユーザーに受け入れられやすい傾向があります。
プロが作り込んだ広告よりも、SNSアプリ内で簡易的に編集された自然な動画が、視聴者の反応を得やすいケースも多々見られます。加工が少ないUGC風動画は、視聴者に「自然で信用できる」という印象を与えるため、抵抗感なく視聴されやすいのです。
たとえば、株式会社エイチ・アイ・エスが制作したタイアップ縦型動画では、「友人のInstagramストーリーズを見ている感覚で楽しめる」といった好意的なコメントが寄せられています。また、最近ではSNSへの投稿が縦型主体で行われることが増えているため、UGC風の動画制作時は縦型を活かした構成やストーリーを意識すると良いでしょう。
商品やサービスを大きく映し出すことで訴求力が高まる
縦型動画は、人物の全身やバストアップ、物撮りなど、被写体を大きく映し出すのに適しています。広大な風景や大人数を映すには横型が向いていますが、縦型は少人数や単一の被写体を際立たせたい場合に最適です。
特に、全身のコーディネートを見せたいアパレルブランドや、高さのある商品を目立たせたい場合には、縦型動画が効果的です。対象物にフォーカスすることで、視覚的なインパクトを強め、商品の魅力を直感的に伝えられるフォーマットといえるでしょう。
縦型動画を活用可能な主要プラットフォーム
縦型動画広告は、多くの主要なプラットフォームで配信可能です。以下に、縦型動画広告を活用できる代表的な媒体をまとめました。
Instagramは、縦型動画広告を効果的に配信できる代表的なプラットフォームの1つです。ストーリーズやリールといった機能に広告を表示することで、ユーザー体験に違和感を与えずに訴求が可能です。これにより、日常的にInstagramを利用するユーザーに自然な形でリーチできます。
さらに、Instagram広告はMeta社が運営するFacebookと同じ管理画面から設定可能です。これにより、両プラットフォームで同時に広告を展開する際の手間を削減できます。
縦型動画広告といえばInstagramが注目されがちですが、Facebookでも同様に配信が可能です。Instagramと共通の管理画面を使用できるため、両媒体での同時運用が容易で、効率的な広告出稿が可能です。
Facebookの広告は、高精度なターゲティング機能を備えているのが特徴です。また、Facebook独自の広告ネットワークを活用して外部メディアにも掲載が可能です。さらに、Instagramにはないシェア機能が備わっており、広告内容次第ではユーザーによる拡散効果も期待できます。
YouTube
YouTubeも縦型動画広告の配信に適した媒体です。2021年に登場した「YouTubeショート」は、縦型動画との相性が良く、現在では多くの広告主に活用されています。
YouTubeは日本国内だけでも月間7,120万人の18歳以上のユーザーを抱える巨大なプラットフォームです(2023年10月時点、Think with Google調査)。老若男女を問わず幅広い層へのリーチを目指す広告主にとって、YouTubeは非常に魅力的です。
また、2023年12月のアップデートにより、キャンペーン目標を「ブランド認知度と比較検討」に設定した場合、ショート動画のみを対象にした広告配信が可能となりました。これにより、縦型動画を活かした戦略的な広告運用がより簡単になっています。
TikTok
TikTokは、10分以内の短尺動画をシェアできるスマートフォン向けアプリです。縦型動画といえばTikTokを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。当然ながら、このプラットフォームでも縦型動画を用いた広告配信が可能です。
TikTok広告の最大の強みは、特に10代から20代の若年層へのアプローチに適している点です。この年代のユーザーは購買意欲が高く、新商品や新しい価値観を受け入れる柔軟性を持っています。そのため、学生をはじめとした若年層をターゲットにした商品やサービスの広告に最適な媒体です。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字以内の「ポスト」を通じて情報を共有し、交流するSNSです。テキスト中心のSNSというイメージが強いXですが、2023年10月の時点では全ユーザーセッションの80%以上が動画コンテンツで占められているというデータが発表されています。これを受け、2024年2月から縦型動画広告の配信が可能となりました。
公式データによると、縦型動画広告を活用することで、従来のX広告と比較してリーチが約10%増加し、フォローやリポスト、いいね、URLクリックといったエンゲージメントが7倍に向上したとされています。この新しい広告フォーマットは、より多くのユーザーにアプローチし、効果的な反応を引き出すツールとして活用が期待されています。
LINE
LINEは、2023年6月時点で月間9,500万人のユーザー数を誇る国内最大級のプラットフォームです。LINEの特徴は、性別や年齢、地域による偏りが少なく、他の媒体ではリーチが難しい層にも広告を届けられる点にあります。
LINEで縦型動画広告を配信できるのは、以下の3つの掲載面です:
- LINE VOOM:ショート動画や公式アカウント投稿を閲覧できるLINE内のSNS機能
- LINEファミリーネットワーク:占いやマンガなど、LINE関連アプリ群
- LINE広告ネットワーク:LINE提携の外部アプリへの広告配信
これらの多彩な配信面と幅広いユーザー層を活かすことで、新たな顧客層へのリーチを狙えます。ただし、LINE広告ではCPC課金の場合に動画クリエイティブが選べないなどの制約があるため、配信前に入稿規定を十分に確認することが重要です。
SmartNews(予約型広告)
SmartNewsは、約3,000の媒体と提携し、日本発の無料ニュースアプリとして国内最大級のユーザー数を誇ります。特に、ビジネス層へのリーチを目指す広告主に最適なプラットフォームです。
2024年3月から、SmartNewsでは新しい縦型動画広告プランである**「Top News Video Ads」**が導入されます。このプランでは、アプリのトップ画面や主要チャンネルで広告を配信でき、特にブランド認知やイメージ向上を目的とした広告に効果的です。
ただし、この「Top News Video Ads」は、広告枠を事前に確保する予約型の形式を採用しています。最低出稿料金が設定されているほか、配信開始前の審査に時間がかかる場合があるため、事前の確認が欠かせません。計画的な運用を心掛けることで、SmartNewsを効果的に活用できるでしょう。
Pinterestでは、2022年6月より日本国内でも広告配信が可能となり、縦型動画広告も利用できるようになっています。このプラットフォームは、購入検討の初期段階にいるユーザーが、アイディアを探すために利用する特徴的な媒体です。
そのため、Pinterest広告を活用することで、まだ購入する商品が決まっていない、新しいアイディアを求めているユーザーにアプローチできます。また、Pinterestは国内外を問わず幅広いユーザー層を抱えているため、グローバルなマーケティング戦略においても効果的に活用できる媒体です。
縦型動画で成果を出すコツ
縦型動画広告で成果を出すためのポイントを解説します。コンバージョンを狙う場合、高価な一眼レフカメラでの撮影は必須ではなく、スマートフォンで撮影した素材でも十分に対応可能です。
冒頭で視聴者の関心を掴む工夫をする
縦型動画はスマホ画面を占有する分、スキップされるリスクが高いフォーマットです。そのため、冒頭3~6秒で視聴者の興味を引く工夫が重要です。具体的には、ユーザーが引きつけられる訴求を冒頭に配置しましょう。
例えば、EC事業者の場合、商品のメリットや使用効果を冒頭で伝えることで、6秒以降に訴求を入れた場合と比べ、CTR(クリック率)が110.8%以上向上したというデータもあります。最初の数秒が広告の成否を左右する重要なポイントです。
動画を縦型フォーマットに適切に編集する
縦型動画広告を作成する際には、既存の横長動画をそのまま利用して上下を画像で補完したり、素材を無理に配置調整するのは避けましょう。TikTokの公式事例でも、縦型に適した編集を施した動画が最高の視聴率とエンゲージメント率を記録したと報告されています。
一から撮影し直す必要はありませんが、縦型に合わせた編集を行うことで広告効果を大きく向上させることが可能です。手間を惜しまず、縦型フォーマットに最適化しましょう。
動画内にテキストを挿入する
動画に付随するテキスト設定も可能ですが、画面下部に小さく表示されるため、重要な情報は動画内に直接組み込むのが理想です。視聴者の目に留まりやすい位置にテキストを配置することで、訴求効果を高めることができます。
テキストの挿入は少しの編集作業で済むものの、その効果は非常に大きいため、ここでの労力を惜しまないことが成果を上げる鍵となります。視覚的に伝わりやすい動画を心掛けましょう。
セーフティゾーン内に重要要素を配置する
縦型動画では、商品や人物の顔、テキストなど重要な要素をセーフティゾーン」に配置することが必要です。ロゴやテキスト、CTAボタンが動画素材の上に重なり表示される場合があり、これらの下部は視聴者に見えなくなる可能性があるため、注意が必要です。
各広告メニューごとのセーフティゾーンは以下の通りです:
広告メニュー | 空けておくべきエリア |
TikTok | 上部13.125%、下部40%前後 |
YouTubeショート | 上部10%、下部25% |
Instagramストーリーズ | 上部14%、下部20% |
Instagramリール | 上部14%、下部35% |
LINE VOOM | 上下各13% |
中でも、Instagramストーリーズとリールはセーフティゾーンが特に狭いため、十分な余白を確保することが重要です。テキストがセーフティゾーン外にはみ出さないよう、制作時には注意しましょう。
スマホ最適化されたランディングページを併用する
縦型動画広告は主にスマホで視聴されるため、タップ後のランディングページもスマホに最適化する必要があります。ページを新たに作成する場合、PCでの確認だけでなく、必ずスマホ実機でも操作性を確認しましょう。
具体的には、以下の点を確認します:
- スクロール操作がスムーズか
- ボタンが押しやすい位置とサイズになっているか
- 文字サイズが小さすぎていないか
また、ユーザーが求める情報を1ページに集約することも重要です。縦型ランディングページは、必要な情報を過不足なくまとめることで、スムーズな導線を提供します。スマートフォンユーザーの行動パターンを学び、ランディングページを最適化することが成果向上のカギです。
音声を適切に使用し、無音にしない
縦型動画では音声要素が視聴者の関心を引くため、無音状態を避けることが推奨されます。TikTokでは、自動音声でテキストを読み上げるナレーション機能があり、オーガニック投稿でもよく活用されています。BGMや地声が用意できない場合には、この機能を試してみると良いでしょう。
また、BGMを設定する場合は、視聴者がストーリーに集中できる適切な音量を選ぶことが重要です。音量が大きすぎると視聴を途中でやめられるリスクがあるため、バランスに配慮した音声演出を心掛けましょう。
縦型動画広告の効果的な配信先の選び方
これまで、縦型動画広告を配信する際におすすめの媒体や、制作・運用のコツについて解説しました。では、実際に広告配信をどのようにプランニングすればよいのでしょうか。この章では、縦型動画広告の配信先を選ぶ際のポイントについて説明します。
ターゲット層や予算を考慮し、最適な媒体を選定する
一方で、広告のターゲットが明確に限定されている場合や、予算に余裕がない場合には、媒体の特徴や強みを考慮したうえで配信先を選定することが重要です。配信目的やターゲットを明確化し、媒体ごとの特性に合わせて最適な配信計画を立てましょう。
さらに、媒体選定や運用について詳しく知りたい場合には、代理店に相談するのも有効な手段です。特に、縦型動画広告のクリエイティブ制作やランディングページ(LP)の作成を手掛ける代理店であれば、運用だけでなく、広告戦略や制作物全般に関する総合的なサポートを受けられるため、より効果的な広告配信が期待できます。
複数の媒体で配信することで最大効果を狙う
縦型動画広告は、多くの媒体で他の広告形式よりも高い成果が期待できるプランです。そのため、同じクリエイティブを使って複数の媒体に広告を出稿するのが効果的です。
運用型のWeb広告であれば、随時成果を確認しながら予算配分や配信内容を調整できるため、まずは複数媒体でスタートするのが良いでしょう。初期段階では各媒体での成果を比較し、成果が出にくい媒体の配信を停止して、効率の良い媒体に予算を集中させることで、配信効果を最適化することが可能です。
まとめ
縦型動画広告は、スマホでの視聴に最適化された効果的な広告形式で、多くの媒体で高い成果を期待できます。成功の鍵は、セーフティゾーンを意識した編集、冒頭での訴求力、媒体ごとの特性を活かした配信戦略にあります。
また、ターゲットや予算に応じて配信先を選び、運用しながら最適化することが重要です。この記事で紹介したポイントを活用し、縦型動画広告を取り入れて、効果的なマーケティング活動を始めてみましょう。まずは一歩を踏み出し、成果を実感してください!
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