インストリーム広告は、YouTubeやその他の動画プラットフォーム上で、動画コンテンツの前後や途中に挿入される広告です。
視聴者の興味を引き付け、スキップされずに見てもらうためには、広告の内容や構成を工夫する必要があります。
本記事では、インストリーム広告の種類や特徴、出稿方法、制作のコツなどを詳しく解説します。 これからインストリーム広告を始める方や、すでに運用中の方で効果を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
インストリーム広告とは
インストリーム広告とは、動画コンテンツの視聴前、視聴中、視聴後に表示される動画広告の一種です。
YouTubeをはじめ、TVerやABEMAなどの動画サービスで採用されており、テレビCMに近い形式の広告となっています。
インストリーム広告とアウトストリーム広告の違い
動画広告には、インストリーム広告とアウトストリーム広告の2種類があります。インストリーム広告は動画コンテンツに連動して再生されますが、アウトストリーム広告は動画再生枠以外の広告スペースに表示されるのが特徴です。
また、アウトストリーム広告は動画サイト以外のウェブページにも掲載可能です。
通常、音声はオフの状態で自動再生され、強制視聴ではありませんが、画面のスクロールにより非表示になります。
インストリーム広告のメリットとデメリット
ここでは、インストリーム広告のメリットとデメリットについて解説します。
メリット① 費用対効果の高さ
スキップ可能なインストリーム広告では、視聴者がスキップした場合に課金されません。
つまり、興味のない人にはスキップしてもらうことで、無駄な広告費の発生を防げるのがメリットと言えます。
一方、6秒間のバンパー広告では必ず動画を最後まで見てもらえるため、短時間で印象に残るコンテンツを制作する必要がありますが、視聴者の記憶に残りやすいというメリットがあります。
メリット② 5秒間の強制視聴による認知度向上効果
スキップ可能な広告であっても、最初の5秒間は必ず広告が再生されます。 さらに、テレビCMとは異なり、チャンネル変更されるリスクもありません。 そのため、ブランドや商品の認知度を高めるのに効果的な手段だと言えるでしょう。
デメリット① クリエイティブ制作に注意が必要
先述の通り、興味のない視聴者はスキップするため、広告の費用対効果は高くなります。
しかし、その分、視聴者の興味を引くための動画内容にこだわる必要があるのです。
特にスキップ可能な広告では、最初の5秒以内にスキップされてしまう可能性があるため、冒頭の5秒間を特に重視して制作しなければ、動画を最後まで見てもらえないかもしれません。
したがって、クリエイティブの制作においては、冒頭の5秒間を意識することが重要となります。
デメリット② 逆効果になるリスクもある
視聴者が見たい動画の前に、強制的に広告を表示することになるため、視聴者にマイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。
そのため、ターゲティングを適切に設定し、興味のある視聴者に確実に動画を届けられるようにすることが大切です。
YouTubeインストリーム広告の種類と料金体系
インストリーム広告は大きく分けて、視聴者がスキップ可能なタイプ(スキッパブル広告)とスキップ不可能なタイプ(ノンスキッパブル広告)の2種類があります。
また、YouTube広告では、スキップはできないものの、短尺のバンパー広告といったフォーマットも選択可能です。
広告の料金はすべてオークション方式によって決まり、各広告タイプに応じた課金条件が満たされた時点で費用が発生します。
スキッパブル広告
スキッパブル広告は、再生開始から5秒後に視聴者がスキップ可能となるインストリーム広告です。
広告の視聴を視聴者自身が選択できるため、ストレスを最小限に抑えられます。
動画の長さに制限はありませんが、Google広告ではターゲットのフェーズ(認知・検討・行動)に応じて、15秒から3分の長さが推奨されています。料金体系はCPCV(完全視聴課金)方式で、動画を最後まで視聴した場合、または30秒以上再生された場合に課金が発生します。
30秒以内に視聴者がクリックした場合も課金の対象となります。
一方、視聴者が途中でスキップしたり、30秒以内に離脱した場合は課金されません。
関心のある視聴者にのみ課金されるため、無駄なコストを抑えつつ、高い費用対効果が期待できる広告形式と言えます。
ノンスキッパブル広告
ノンスキッパブル広告は、視聴者がスキップできないインストリーム広告です。
最大15~20秒の動画を配信可能で、確実に最後まで視聴してもらえる反面、視聴者に強制的に見せることになるため、ストレスを与えてしまう可能性もあります。
料金はCPM(1,000回再生ごとの課金)方式で、動画が1,000回視聴されるたびに課金が発生します。
バンパー広告
バンパー広告は、再生時間が6秒以内の短尺動画広告です。視聴者はスキップできませんが、尺が短いため、ストレスを感じずに最後まで視聴してもらえる傾向にあります。料金体系はCPM方式で、動画が1,000回再生されるごとに課金されます。
インストリーム広告の配信タイミング
ここでは、インストリーム広告の配信パターンを紹介します。 動画内でどのタイミングで再生されるかによって、広告の効果や特性が異なるため、これらの違いを詳しく確認していきましょう。
プレロール広告
プレロール広告は、動画本編の開始前に流れる広告です。 動画の視聴前に表示されるため、視聴率が高いのが特徴です。
ミッドロール広告
ミッドロール広告は、動画本編の途中に挿入される広告です。動画の間で流れますが、視聴者は動画の続きを見たいと思っているため、離脱率が低くなる傾向にあります。
ポストロール広告
ポストロール広告は、動画本編の終了後に流れる広告です。動画の視聴後に表示されるため、視聴者が離脱してしまう可能性が高くなります。本編との関連性を持たせたり、強い興味を引き付ける内容にするなど、工夫が求められます。
また、これら3つの配信タイミングに加えて、広告のスキップ可否によってもインストリーム広告を分類することができます。
インストリーム広告の配信方式
動画広告では、配信のタイミングだけでなく、どの配信方式を選ぶかも重要なポイントです。配信方法によって、広告の効果やターゲットへのリーチが大きく変わるからです。
それぞれの配信方式にはメリットとデメリットがあるため、しっかりと理解した上で、目的に合った最適な方式を選択しましょう。
スキップ可能な方式(スキッパブル方式)
スキッパブル方式は、広告開始から5秒後に「広告をスキップ」ボタンが画面右下に小さく表示され、視聴者が広告をスキップできる方式です。
視聴するかどうかを視聴者自身が決められるため、スキップ不可の完全視聴方式と比べ、視聴者へのストレスは小さくなります。
ただし、関心のない視聴者にはすぐにスキップされてしまうため、商品の認知度向上などの目的には適していません。主に見込み客の獲得や購入促進などの目的で活用されることが多い方式です。
完全視聴方式
完全視聴方式は、スキップ機能のない広告です。動画広告を最後まで確実に視聴してもらえますが、視聴者が興味のない内容だった場合、商品に対する不快感を与えてしまうリスクもあります。
ブランド認知度の向上やリーチ拡大などの目的で多く利用されています。
バンパー方式
バンパー方式は、6秒間のスキップ不可の広告です。スキップはできませんが、尺が短いため、完全視聴方式で起こりがちな視聴者へのストレスを軽減できます。
ブランド認知やリーチ拡大などの目的で活用されることが多い方式です。ただし、わずか6秒間で伝えたいメッセージを簡潔にまとめる必要があります。
インストリーム広告を出稿する4つのステップ
YouTubeインストリーム広告を出稿する手順は以下の通りです。
- Google広告にてYouTube動画広告を作成
- キャンペーンの「目標設定」を行う
- 広告予算に関する設定を行う
- 広告グループを作成し、動画広告の設定を完了
この流れに沿って作業を進めることで、スムーズにインストリーム広告を出稿できます。 それでは、各ステップの詳細を説明していきましょう。
1)Google広告でYouTube動画広告を作成
まず、Google広告にログインし、YouTube動画広告の作成を開始します。
メニューから「キャンペーン」タブを選択し、キャンペーン管理画面の「+」ボタンをクリックしてプルダウンメニューを表示します。
そこから「+新しいキャンペーンを作成」を選択してください。
2)キャンペーンの「目標設定」を行う
次に、キャンペーンで達成したい目標を設定します。目標を選択した後、キャンペーンタイプを「動画」に設定してください。これがインストリーム広告の出稿に必要な設定です。
キャンペーンタイプのサブタイプを選択し、「続行」をクリックします。
3)広告予算に関する設定を行う
目標とキャンペーンタイプの設定が完了したら、予算に関する設定を行います。 入札戦略や予算、配信期間などを詳細に設定していきましょう。
広告の配信にはGoogleの審査が必要で、数日かかる場合があるため、スケジュールには余裕を持たせることが重要です。
4)広告グループを作成し、動画広告の設定を完了
予算設定が完了したら、広告を配信するターゲットグループを設定します。
以下の項目を設定していきましょう。
- ユーザー属性(性別、年齢、子供の有無、世帯収入など)
- 特定の興味関心を持つオーディエンス
- 目的に沿ったキーワード
- 関心を持つトピックやプレースメント
広告グループの作成が完了したら、次に配信するYouTube動画を設定します。
上の画像内赤枠を参考に動画検索機能を活用し、キーワードや動画のURLを入力して、広告用の動画を選んでください。
URLを入力すると、以下のような画面が表示されます。
また、広告をクリックした際のランディングページURLや、ユーザーを引き付けるためのフレーズ、見出し、広告名なども設定しましょう。
これらの設定が適切でないと、クリック数などの成果が思うように上がらない可能性があるため、注意が必要です。
これらの設定がすべて完了したら、「キャンペーンの作成」をクリックすれば、インストリーム広告の出稿が完了します。
動画制作の流れ
効果的なインストリーム広告を制作するためには、いくつかの重要なステップを踏んでいく必要があります。
ここでは、インストリーム広告の動画制作の流れを、ステップごとに詳しく解説していきます。
広告のコンセプトとメッセージの決定
広告制作で最も重要なのは、その広告を通じて何を伝えたいのかをはっきりさせることです。
動画の視聴者にどのようなメッセージを伝え、どんな印象を与えたいのかを明らかにしましょう。
動画広告で伝えるべき内容は、主に以下の2種類に分類されます。
ビジネスやブランドの紹介
商品やサービスの紹介
視聴者にとってわかりやすく、シンプルな構成にするためには、どちらか一方に絞り込むことをおすすめします。
ターゲットオーディエンス(ペルソナ)の明確化
次に、ターゲットオーディエンスを明確にする必要があります。
年齢、性別、地域などのユーザー属性によって、興味関心は異なります。初めて動画広告を制作する際は、「ペルソナ」を作成することでターゲットを明確にしましょう。
ペルソナとは、簡単に言うと「理想的な顧客像」のことです。
ペルソナを設定することで、自社の商品やサービスを利用してほしい顧客は誰なのか、どのような悩みを抱え、何を求めているのかを理解できます。
動画の構成と脚本の作成
広告のコンセプトとターゲットが決まったら、具体的にどのような構成で内容を伝えるのかを考えます。 その際、以下の点を考慮しましょう。
伝えたいメッセージと、そのタイミング
動画の出演者
撮影するシーン
必要な小道具
アイデアは文章やイラストで書き留めておくと良いでしょう。
確実に視聴者にメッセージを伝えるには、脚本の作成がおすすめです。
伝えたい内容が盛り込まれているか、明確に伝わるかなどの点を確認しながら作成していきましょう。
出演者(キャスト)の選定
構成や脚本の内容に応じて、適切な出演者を決定します。
企業の代表者自身が出演するのも良いですし、商品やサービスの紹介であれば、多くの視聴者に親しみを感じてもらえる人物を選ぶのが効果的です。
キャストには、広告で伝えたい内容をしっかりと理解し、視聴者に明確に伝えられる人物を選びましょう。
また、YouTube動画クリエイター(ユーチューバー)などのインフルエンサーをキャストとして起用することで、広告効果をさらに高められる可能性があります。
インストリーム広告制作のコツ
インストリーム広告は、数秒でスキップされてしまうと、ユーザーに伝えたいメッセージを十分に伝えることができません。
株式会社ネオマーケティングの調査によると、ユーザーの96%が広告をスキップする傾向にあると報告されています。
そのうち多くのユーザーが、動画の冒頭で視聴を続けるかどうかを判断しています。
そのため、ユーザーが動画の視聴を決める最初の数秒間を魅力的に制作することが重要です。
例えば、メッセージを冒頭に提示したり、ターゲット層を明確に絞るといった工夫が求められます。これらを意識することで、届けたい内容を効果的に伝え、スキップされにくい広告の作成が可能になります。
冒頭の数秒間にこだわる
動画広告では、最初の数秒間で視聴者の関心を引き付けることが成功の鍵となります。
ターゲットが関心を持っている内容やインパクトのある訴求を行いましょう。
例えば、「全品50%オフ!」「2日間限定!」など、数字を使ったメッセージは印象に残りやすいので、積極的に活用しましょう。
他にも強力なベネフィットがある場合は、冒頭で提示するのがおすすめです。
ターゲットオーディエンスを明確にする
動画広告を視聴してほしいターゲットオーディエンスを明確に設定しましょう。
例えば、20代の美容に興味がある人と、40代のビジネスパーソンでは、最適な内容が異なります。
誰にどのような行動を起こしてもらうために動画広告を配信するのか、具体的に設定することが大切です。
KPI(重要業績評価指標)の設計
動画広告の運用において重要なのがKPIの設定です。
動画広告を出稿することで、どのような効果を得たいのかを明確にする必要があります。
例えば、顧客獲得が目的の場合は、クリック率やコンバージョン率、CPAをKPIに設定します。
一方、ブランディングや認知度向上が目的の場合は、動画再生回数やリーチ数、視聴完了率やエンゲージメント率などをKPIに設定しましょう。
効果検証の実施
動画広告の配信後は、効果検証を行います。
パターンの異なる複数のクリエイティブの中で、効果的だったものを分析し、成果要因を特定しましょう。
以下は、YouTube広告で計測可能な主な指標です。
視聴回数:動画広告をユーザーが視聴した回数
ユニーク視聴者数:一定期間内で動画広告を視聴したユニークユーザー数
視聴率:動画広告の視聴回数またはエンゲージメント数を、広告の表示回数(インプレッション数)で割った数値
クリック率:インプレッション数に対して、動画広告がクリックされた割合
コンバージョン数:広告に接触したユーザーが対象のWebサイトでコンバージョン(商品購入、資料請求など)した数
動画視聴後のチャンネル登録数:広告動画視聴後に自社のYouTubeチャンネルに登録したユーザー数
まとめ
インストリーム広告は、動画コンテンツの視聴前・視聴中・視聴後に表示される動画広告です。
スキップ可能な「スキッパブル広告」、スキップ不可の「ノンスキッパブル広告」、尺の短い「バンパー広告」の3種類があり、目的に応じて選択します。
出稿は、Google広告で4つのステップを踏んで行います。
動画制作では、広告のコンセプト・メッセージ、ターゲット、構成、出演者を明確にすることが重要です。
冒頭の数秒間にこだわり、ターゲットを明確にし、KPIを設定して効果検証を行うことが、インストリーム広告を成功させるコツとなります。
適切な方法で運用することで、インストリーム広告は認知度向上や顧客獲得に効果的なツールとなるでしょう。
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